2002年度谷和原村手話奉仕員養成講座カリキュラム作成<第6回>4月25日カリキュラム
第2回講座の内容をご紹介します。
1.前回見たNHKテレビ「みんなの手話」の砂田さんと河合さんのコントのビデオを詳しくチェック
- 前回は、2回ほどさらっと見ただけでした。今回はちょっとずつ区切りながら、じっくり「読んで」見ましょう。
- 「パフォーマンス」って手話が新しいですね。「表現」と「アルファベット指文字のP」を組み合わせたもののようです。
- いきなり「いかがですか?」って手話がでました!これならみんなも読める。(*^_^*) でも、これを例えば「どのようなものをお探しですか?」と読み取るのは、結構難しいよね。
- 河合さんのセリフ;「私」「指輪」「欲しい(好き)」「欲しい(ちょうだい)」「私」・・・もうここから手話の「リズム」についていけないよね。この5つの手話が表現されたことをキチンと読み分けて、例えば「シャドウイング」(表現された手話をそっくりそのまま真似て再現する練習)なんてやるのが、ホントは一番の勉強になるように思う。それも「リズム」をつかむまで何度も何度も繰り返しね。でもって、これを日本語にしたらどう読む?う〜ん、「指輪をちょっと・・・」かなぁ〜、僕だったら。
- 河合さんのセリフ;「(指輪)小さい」「嫌い(気に入らない)」「私」・・・最初の「(指輪)小さい」をきっちり読むには視線が「口話」になってないと無理だよね。口元が「ち〜」になってる。手話自体は「指輪」って表しながら右手の「わっか」(指輪の石の部分を表してる親指と人差し指で作った○ね)が、小さく表されてるだけだから、「手先」を見てる人にはテレビの画面だけじゃちょっと読み取れないよね。
- 砂田さんのセリフ;「待って」「他の」「もっと」「いい」「(向こうに)ある」「待って」「ください」・・・これもシャドウイング課題だよね。でも、僕なんてビデオのスロー再生で見てやってできるくらいだもの、受講生にやらせるのってずるいよね。(-_-;) 手話自体は、入門レベルの受講生も知ってる単語ばかりなのに、実際にろう者が「手話のリズム」で表現すると読み取れるのは恐らく最後の「待ってください」だけだろうなぁ〜。つまり、手話という言語を学ぶと言うことは「単語の羅列」表現ではダメなんだ、ってことなんだよね。英語の学習もそうだけど、「単語を覚えること」イコール手話を話せるってわけじゃないんだよな。
- 河合さん;「オーケー」(指輪を手に取りながら)「(見たことないほど)素晴らしい」・・・この2つ目のいわゆる「得意」って手話ね。僕は上手く訳せないけど「どっから見つけてきたのこんな素敵な指輪」ってニュアンスのように思うんだけど・・・。こういうのキチンと指導できない聴者は講師失格ですね・・大いに反省です。
- 砂田さん;「これ」「アメリカ」「場所」「最高(一番)」「りっぱな(高級な)「指輪」(です)「どうぞ」・・・さあ、どう読み取ります?「こちらは、アメリカでも最高級のものでございます。いかがでございます?」って感じかな。
- 河合さん;「これら」「なんか」「形」「悪い」「もっと」「いいの」「ないの?」・・・今回の読み取りの一番難しいところだと思います。おそらく”手話の音便”って文法だと思うのですが、「これら」の人差し指がそのまま「なんか」につながって、人差し指はそのまま親指が立って「形」の右手になる。「悪い」は親指を立てて横に倒す「bad」って感じの手話だし、さらに「形」と同じ指の形の「もっと」につながって、「いい」の手話は右にスライドして「素晴らしい」に近い形になってる。そして最後の「ない」は手のひらをぱっと裏返す形の「ない」だから、一つ一つの手話単語を「訳して」それらを「つなげて」たら絶対に読み取れないんだよ。こういうのどうやって「指導」したらいいんでしょ? シャドウイングしてみぃ!て言われても僕にはできないよ、つっかえちゃう。まさにネイティブな手話の「発音」ってこういうのいうんだろうなと思います。
- 河合さん;「試して」「いい?」・・・たったこれだけの手話なのにね。人差し指で目をさして「試す」。その手を小指に変えて「いい?(かまわない?)」
- 砂田さん;「どうした?」「指輪はずす」「難しい?」「あなた!」「指輪はずす」「必要!」
- 砂田さん;「頑張って!」「ねえねえ」
- 砂田さん;「(1)よかった」「(2)成功」
- 河合さん;「間違えた」「私」
- 砂田さん;「ぴったり(それで合ってます)」「指輪はずれる」「(2)よかった」「ほっとした」
- この一連のやりとりの中で「(1)よかった」は、グーを作って顔の前で左から右にすっともっていく「素晴らしい」に似た手話。「(2)成功」は人差し指と中指を立てた「12時(お昼・正午)」の形で、額の前でちゃちゃっと左右に振る手話です。これに僕は「よかった」と「成功」というラベル(訳ではありません)をつけてみたのですが、間違っているかもしれません。「はずれないんですか?いや、はずしていただかないと・・・(困ります)」「頑張ってください!」(とは音声語では言わないよね、「お客様、大丈夫でございますか?」くらいかな?)
- 「(2)成功」は、僕は「正式」って手話と同じだと読んだんだけど、やっぱ間違ってるかな。どなたか教えてください<(_
_)>
◆わずか2分ちょっとのコント、というかネイティブサイナーの手話による会話から、これだけのことが学べるわけです。僕は、テキストを中心にしたこれまでの手話学習が根本から間違っていたんじゃないかって、つくづく感じるのです。
◆手話学習は、「まず、ろう者同士の会話ビデオありき」から始められなければ、ならないと考えているのですが、みなさんいかがでしょうか? 「ろう者同士」にこだわったのは、会話の相手が聴者であるとどうしてもろう者の手話の「自然さ」が損なわれるからです。同様の理由で、ろう者にライブで表現してもらう場合も「テキストを見ながら表現」というのが、結局ネックになってるように思います。
<休憩>
2.4つのグループに分かれて自己紹介の練習(分からないところをお互いにフォローし合う。もちろんろう講師に質問も可。)
3.自己紹介のビデオ撮り ; 取りあえず7名の方の自己紹介表現をビデオ撮りしました。講師のチェックは次回。
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