2002年度茨城県手話通訳者養成講座2(応用・実践) <実習第3回>
2003.2.9(日)10:30〜12:00
<カリキュラム項目>
・「第11回茨城県聴覚障害者大会」における聞き取り通訳実習2/9(日)鹿島市勤労文化会館大ホール−担当;神栖町・八郷町・取手市・土浦市グループ(4名)
<実習の流れ>
・そもそも第3回目の実習は、ろう講師菊池さんの必死の交渉と茨聴協の暖かいご理解があって実現したものです。ありがとうございました。 ⇒ろう者大会での実習実現までの経過
・事前資料の入手には非常に苦労しました。⇒参考;一般の通訳者の場合
・2/8(土)講座の終わりに実習に当たって前日に準備すべき事を受講生に考えてもらった。
・2/8(土)前日の準備が17:00〜21:00行われるとの情報が入ったので、急遽、講座終了後現地へ駆けつけることに。講座が17時くらいまでかかったので結局現地についたのは、7時半くらいだったかな、遠かったぁ〜。<下見レポート>
・2/9(日)当日は8時半集合。宿が近かったせいもあって、ギリギリに到着、実習生はすでに来てました。エライエライ(^^)//""""""パチパチ。取りあえず、舞台へ。
<立ち位置を最終確認>。ガムテープを貼らせてもらう。ガムテープはパソ通の安本さんに借りました。袖幕からの出入りももう一度練習。靴の音も気になるので歩き方と合わせてチェック。
<控え室確認>。通訳者共通の控え室を実習生も使って良いことに。ご配慮に感謝。こういう些細なことが意外と当日の気持ちを落ち着かせてくれるのです。
<取りあえずストレッチ>。ハッキシ言って緊張。みんな顔もこわばる。「取りあえずストレッチやろう」と実習生を誘って舞台裏で頸肩腕予防のストレッチングをやりました。これまでの講座でもやろうやろうと思いながら準備不足でできなかったのですが、最後にかろうじてストレッチングできました。通訳者の習慣にしなきゃね。
<菊池さんと打ち合わせ>。9時過ぎに菊池さんも到着したので、後は菊池さんにお任せして、手話表現などの最終チェック。応用担当の吉澤さんも実習生に声をかけてくれました。今日彼女は理事席に座るので、実習生にとってはとても心強い存在です。
<派遣通訳者とも顔合わせ>。読み取り通訳を担当する登録通訳者が到着。白井さん、馬場さん、白澤さん、西村さんの4名。予想どおりというか、「最初は10時半に来てくれ」程度の連絡だったらしい。資料もほとんど持ってない?
<司会者との事前打ち合わせ>。9時50分〜10時15分、司会担当の末森さんから手話通訳・パソ通・OHP全員を集めて進行について最終説明。みんな一生懸命聞いて、質問して、確認してました。2年前の大会ん時にはこんな説明なかったぞぉ〜!
大会の2時間前に集合しても、始まる前にけっこうあれこれあって落ち着かないもんです。手話そのものに関しては当日にチェックするなどほとんど不可能だといわれる所以です。手話通訳する「以外に」やることが山ほどあるのが手話通訳現場なのです。実習を行う意義もまさにここにあると思いますし、今回に関しては、ろう講師の菊池さんが通訳者の裏方にずっと付き添ってくださったことが大変素晴らしいことだったと思います。
<10:30〜 大会スタート>
<全体的な評価>
mor ・一つ一つの手話がごちゃごちゃしている。もう少しゆったり表現できると良い。
・緊張してるせいか、普段よりも表現ミスが目立つ。
・nak ・吉澤講師からも指摘があったが、「姿勢」がもう少し。もっと胸を張った姿勢が取れると良い。
・事前に一生懸命練習した工夫が見られるが、逆に手話が早くなってしまって手話の間が空きすぎてしまった。
・「大会宣言」の手話って?。sim ・言葉のまとめ方(翻訳)に、まだ未熟な面がある。
・野球大会出場者紹介場面では、慌ててしまった。sai ・表情が硬い。
・来賓紹介は、事前によく練習してきっちり表せてました、エライ!
<実習生本人の反省>
まず、実習生本人に<講師の評価をどう受け止めるか>を考えてもらい。
さらに講師と意見交換しながら考えを深め、自分の中に吸収できるようにする。
例えば、
・講師の評価を素直に受け止められたか?
・自分ではこんなつもりで表したのだが…。(反論)
・評価で言われてることが分からない(疑問⇒質問する)
<ビデオチェック>
今回は、実習から講座まで時間があるので、実習生ごとにビデオをダビングして送付。それぞれ自宅でじっくり見て、自己チェックと再練習してもらう。
できれば自分の担当部分の音声をテープ起こし(テキスト化)できると良い。
<参考;木下のビデオ・チェック・メモ>
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<第3回実習についての総括的な反省>
<主催者との事前連絡・資料要求>
・「実習」ということもあり、なかなか事前資料が手に入らなかった。また、大会実行委員側でも大会パンフレットの製作が遅れ前日になっても手に入らなかった。
・たまたま情報交換していたパソコン要約筆記グループからパス通用の原稿を見せてもらうことができ、あくまでも「参考」として実習生に配布したが、実行委員会側の了解を得なかったことで、実行委員・パソ通両者にご迷惑をおかけした。これは木下の責任です、すみませんでした。
・ただ、手話通訳者にとっての「事前資料の重要性」については、ろう協と通訳者側でまだ相互理解が進んでいない部分があります。
ろう者側からは、「聞いたものを通訳するのが手話通訳」なので、事前資料の有無はあまり関係ない、「資料資料というのは力量不足」なのでは、という認識が伺えます。
一方、通訳者側からは、「資料が無くては十分な通訳ができない」「資料をくれないのは、ろう者の理解不足」との意識が感じられます。
これではお互いの不信感だけが大きくなっているように思います。今回の大会をきっかけに「事前資料は本当に必要かどうか」についてお互いに十分議論して、今後に生かせるといいと思います。
<最初の主催者へのあいさつ>
・今回は、前日の準備の中で挨拶を済ませてしまったような形になった。というのも、当日朝は、みんな最終準備に必死でとても挨拶など聞いてもらえる雰囲気ではなかったからだ。
・実習生の一人が地元で実行委員に名を連ねていたいこともあり、僕も「まあ、あまり形式張って挨拶しなくてもいいか」と考えてしまったが、地元の鹿行ろう協根本会長さんへの挨拶を忘れた(実習生はしたかも?)のは、反省点でした。
<事前打ち合わせのマナー>
・当日の朝、緞帳が上がったままだった。本来10時開場のはずだったが、それよりも前にお客さんが着席し始めていた。
本来は、緞帳を下げて舞台上の立ち位置の調整などやるべきだったと思う。実習生がお互いに理事席に座って通訳の見え方をチェックしたりしている様子が客席から丸見えだったのは、ちょっと失礼な振る舞いだったと感じた。開場時間がルーズだったことが直接の原因だが、通訳者側もあまり「舞台裏」を見せない配慮は必要だと思う。
<立ち位置と方向>
・身長に合わせて、立ち位置を2つ記した。背が高いとどうしても角度がついてしまうので、若干後ろに下がって通訳するようにした。
・視線については、「近い位置での通訳なので、できるだけ視線を左右に広く取るように」と指示したが、やはりどうしても特定の理事さんに視線が集中してしまったようだ。
<情報保障・通訳範囲>
・理事向けの通訳がどの範囲の情報まで通訳するのか。今回は、会場の拍手を通訳するかどうかで、ろう講師から「通訳すべき」との指摘があった。判断が難しいところだが、会場からの拍手は、「間合いが空いてしまった場合」には通訳した方が良い、と僕は考えている。話しの通訳と重なってしまう場合は、あまり拍手に拘らない方が良いが、今回は、間合いが空いてしまって、その間が「拍手だけ」という時間が起きたので、あそこは「会場の雰囲気」を伝えるのが良かったのではないかと思う。
<終了後のふるまい>
・今回は、舞台上で理事向けの通訳だった。大会終了時に、鯉渕会長ほかが、県の福祉部長などに挨拶に歩み寄った場面があったが、一応通訳が必要かどうかチェック(意識)する必要があったのではないか。
・午前中の式典だけの通訳担当だったので、昼食後解散とした。まだ、大会は継続中であったので、特に実行委員への挨拶などもしなかった。ちょっとまずかったかな?(これは木下の反省)