2002年度茨城県手話通訳者養成講座2(応用・実践) <実践第4回>
2003.1.11(土)13:30〜16:30
<カリキュラム項目>
・宿題(逐次通訳)結果についての解説(その2)
・1/18実習の事前学習
・1/12観察実習の進め方について説明
<準備経過>
・やっぱ年末のビデオ作成⇒発送はとっても大変でした。12月21日(土)に講座があって、翌22日(日)に受講生分17本+ろう講師用1本をダビング。それを1本1本封詰め。この作業と費用がバカにならない。
封筒は前回使ったのを受講生に持ってきてもらうようにして「リサイクル」。ビデオ送付用の封筒は1枚100円近くかかるのだ。送付文書作って、宛名シール貼って、ガムテープで封詰めして、もうグッタリ。日曜日にやってる郵便局がどこにあるのかよく分からなくてウダウダしている間に23日(月)になってしまった。
「25日にはもう帰省してしまうので…」と受講生から言われていたのを思い出してチョー焦った。結局、東京へ出なければならない用事があったのでビデオ入り封筒18本の入ったバカでかい紙袋を持ったまま出掛け、新宿郵便局でかろうじて投函(祝日でもやってくれてて助かった!) でも、年末の郵便局ってすっごい混んでるんですねぇ〜。50メートル30分くらい並ぶハメに…。
定形外で1通270円するのですが、封筒によっては微妙に重さが違って、390円のものが2通発覚。これだから切手貼ってポストに投函というワケにはいかないのです。前回、紙1枚多く入れたら250グラムオーバーになったのがあったので、今回は極力同封物を減らしたんですが、2通アウトだったワケです。合計5100円。これを貧乏な僕が立て替え払いするのが一番キツイです。
<宿題内容>
・受講生から「クリスマスイブに素敵なプレゼントが届きました」とのコメントをもらっちゃった宿題は、逐次読み取り通訳問題。なるほど、確かに嫌みなプレゼントだよなぁ〜、オレだったら「届かなかったことにして捨てちゃう」かも。
・前回講座の最後に、「菊池講師と吉澤講師が会話」した様子をビデオ収録。これを1段落毎に県南・鹿行グループの受講生が逐次口頭通訳しました。そのビデオをダビングし受講生に送付したワケです。
これを宿題として全員の受講生が同じように逐次口頭通訳したものをカセットテープに吹き込み(録音)、さらにそれを紙に書き起こして講師にFAX・E−mailしてもらいました。
・宿題は、講座の時と同様「一発録り(初見)」したものを提出するのが基本ですが、余裕のある人は「繰り返し見た後の逐次口頭通訳版」も提出してもらうようお願いしました。(⇒提出者4名)
<会場設営>
・今回もグループ別に着席。ただし、場所によってビデオの画面が見にくいグループが出てしまうので、場所を順番に移動することにしました。
[前半]
<前回後半にやった菊池講師のお話し「美術批評会の手話通訳」の読み取りについて再チェック>
・もう一度グループ別に話し合ってもらい、読み取れなかったところをまとめ、グループ別に板書。
A(つくば市・阿見町);(1)「思い出せないこと」か「忘れられないこと」か?
(2)「研修」と「ゼミ」はイコールなのか?
B(県西・県南) ;(3)「アート」か「デザイン」か「デッサン」か?
(4)「作品を見られずに次へ移動させられてしまう」の訳は適切か?
C(鹿行・県南) ;(5)手話「苦しい」に当てはまる適切な日本語訳は?
(6)手話通訳「付き」か「付けてもらった」「依頼した」「お願いした」か?
・これらに対して、ろう講師が解説
(1)忘れられない・・・口話を見れば、かなり読み取れる。
(2)研修には、美術館見学などあった。ゼミとは異なる。
(3)「アート」等限定した意味でなく「宿題」の意味
(4)適切です。
(5)「多少苦しめられたことがある」
(6)「手話通訳付き」で
=木下反省=
受講生に読み取れなかった所を再度まとめて板書してもらったが、宿題としてすでに前回提出済みだった上に、前回の最後にはグループ別のまとめ(回答例)も提出済みだったので、同じ事の繰り返しとなってしまった。
予め講師同士でそれらをチェックし、ポイントを絞って解説をすれば済んだように思った。僕も読み取り回答内容の点検は菊池さんにすっかりお任せ気分でいた上に、今回の宿題のことで頭がいっぱいになってしまっていた。大いに反省した。やはり講師としてキチンと模範解答を示すべきだろう。
後半
<グループ別に各自の宿題結果を相互チェック>
・例によって、まずは、各グループで各自が宿題でやって来た内容を相互チェック。
・チェックポイントは、次の4ランクに分けて検討してもらいます。(宿題の送付状に記載済み)
1)初見で目がついていかなかった表現(読み落とし)
2)見えたが手話として理解できなかった表現
3)読み取ったが、意味を取り違えた表現
4)通訳できたが、日本語として不適切だった表現
・特に 3) 4)については、お互いの回答をチェックし、講師の解説を聞いた後で、再度確認すべき項目ですね。(菊池講師の解説後、再度受講生に話し合う時間を作るべきでしたね。)
<参考;木下の回答例03「嫌な手話通訳タイプ」>
というつもりだったのですが、前半バタバタし過ぎて、ちょっと余裕なくしていて、取りあえず分からない部分をグループ別に書き出してもらうことになりました。
<グループとしての読み取りで難しかった点を発表・板書>
A(つくば市・阿見町);(1)菊池「通訳に専念しようと…じろじろ…」の部分はどのように訳すか?
(2)菊池「通訳が来て、すごくイヤだと思った」の「イヤ」の部分の訳は?
(3)菊池「帰りたい」とは?
(4)吉澤「手落ちとか」は通訳技術上か、全般的な問題か?
B(県西・県南) ;(5)吉澤「ジロジロ見ている」のは誰か?
(6)吉澤さんの言いたかったことは?
(7)菊池「(自分が)帰りたい」のか「(通訳者に)帰って欲し」かったのか?
C(鹿行・県南) ;(8)吉澤さんが不愉快だったことの意味
(9)それに対する菊池さんの答えの意味
(10)/〜帰る/の意味は?
(11)吉澤「(ビデオを見て)よく分かった」のは内容か菊池さんの気持ちか
<ビデオチェック 1>
・ビデオの該当部分を見ながら講師が解説。(各グループの発表と比較しながらポイントをろう講師が解説)
(5) ; 吉澤さんではなく、通訳者が吉澤さんをジロジロ見た
(1)(6)(8) ; ここは非常に難しい部分でした。「通訳者からジロジロ見られて」ということは何とか読み取れるのですが、それがなぜ「不愉快だった」のかをなかなか理解できなかったのです。
最終的には吉澤さんご本人に解説いただき「あなたいい服着てるわねぇ〜とジロジロ見られて不愉快だった」といのことでした。
僕の読み取りは「手話通訳として読み取る眼でなく、興味本意な眼で不躾にジロジロと見られた」と考えましたが、どうだったでしょうか。
(9) ; 前の吉澤さんの答えを受けて、菊池さんが重ねて質問するところですが、「ろう者の気持ちを考えながら読み取りに集中しているのではなく、ただジロジロ見られたっていう経験があったわけね」と文末で文意を否定しているのが意味をつかみにくくしていると思います。しかも、前後に「ジロジロ見られる」があるため、「(自分が)ジロジロ見られた」ことと「(通訳者が)読み取りに集中する」というところのロールシフト(格の移動)がとても読み取りにくいのです。
(3)(7)(10) ; 受講生の訳文を読んだ時に「帰りたい帰りたい」という部分があって、ちょっと驚きました。でもビデオを見ると確かに「○○したい○○したい」と表現しているように読めます。
ここは実はライブで見た時には比較的読みやすかったのですが、ビデオだと返って平面的なので読み取りにくかったようです。「(どうしようもない通訳者なので)もう帰ってもらいたい」あるいは「首にしたい」というようなニュアンスで話されていたと思います。
(4) ; ここはその前の「/マナー/心/配慮(準備)/ない」と一体的に読み取るべきではないかと思いました。吉澤さんの嫌いな通訳者のタイプとして「でしゃばり」なのと「ろう者に対するマナー・心構えがなってないというか配慮がない」という二つを挙げられたと思います。
(11) ; ここは吉澤さんが解説されましたが、「菊池さんの気持ちなど全て分かった訳ではなく」「内容が分かった」というのが正解です。
受講生の疑問点に対して、ビデオを見直しながら解説をしていったワケですが、やはり聴者である自分にとっては、もう少しビデオをゆっくり見られるといいのだがなあ〜と感じました。それは手話を一つ一つ頭の中で再現しながら意味を振り返ることが十分にできないからなのです。
よく聴者講師は、/手話/手話/…というように/で区切りながら手話を書き取って意味を考えたりしますが、ろう講師はあまりやらないようです。手話を当たり前に読めるので、わざわざ/で区切ることに違和感があるのかもしれませんが、聴者はやっぱもう少し細かく一つ一つの手話の動きを追っかけて再現してみないと、「何がどうなったのかさっぱり分からない」まま終わってしまうように思います。
例えば、スロー再生してみて受講生にシャドウイングをやらせて意味を考えさせるとか、指導方法の工夫もさらに必要だなと感じました。
・最後に通訳者のマナーについて、菊池講師からアドバイスしてもらう予定だったのですが、これも時間切れでできませんでした。
・ただ、吉澤さんの「ジロジロ見られて不愉快だった」の手話についての補足説明の中でも、<1.勝手な判断をする通訳>や<2.勝手に意味を付け加えてしまう通訳>そして<3.ろう者の手話に対して、「へぇ〜そうやるのぉ〜?」というような反応を示す通訳>は、イヤだというお話しがありました。
・特に<3.ろう者の手話に対して、「へぇ〜そうやるのぉ〜?」というような反応を示す通訳>というのは、自分も大いに反省しました。ろう者から見た時それは「そんな手話、教科書に載ってないよ」とか「それはあなた独自の勝手な手話じゃないの」という不信感を通訳者が表しているように見えるのではないでしょうか?
通訳者がろう者から手話を教わるというのは、大切なことですが、聞こえない人にとっては、その通訳者が自分の表した手話を知らないこと自体に対する不安や不信の気持ちの方が大きいのだということも忘れないようにしなければならないなと、改めて感じました。
・それは僕がたまに三河弁がぽろっと出た時に東京の人に(最近は子どもにも言われちゃうのですが)「それどういうこと?」「へぇ〜そんな風にいうの?」って言われると、劣等感というか屈辱感というか、「おんどりゃバカにしとるんだろぉ〜」という気持ちになるのと似ているような気がします。
<1/12(日)観察実習(ろう教育懇談会)について>
・当日のスケジュール
12:00 集合
観察実習中の諸注意
会場下見(座席の確認)
12:30 通訳者の事前打ち合わせの観察(全員、控え室に入れるのか?)
13:30 ろう教育懇談会スタート
司会;末森氏
15:30 終了予定(受講生の反省会は「シンポと同じ部屋」)
チェックシートの記入と提出
講師、コメント? 解散
・会場 ; 茨城県総合福祉会館3階
<1/18(土)聞き取り通訳実習1「手話通訳体験」の事前学習>
・当日の進め方の説明
・講演会聞き取り通訳の事前準備と当日の注意事項について(グループ討議;テキスト参照)
・時間があれば、当日手話通訳を担当する受講生に実際に聞き取り通訳練習をやってもらおうと考えていたのですが、できませんでした。ちょっとカリキュラム・ミスです。いきなり実習本番を迎えることになってしまった。
・やはり事前に模擬通訳とかやってもらって、一人一人チェックして、講師から批評してもらって、そこをまた練習して、自分の課題を意識した上で実習に臨むべきですよね。
<宿題> =なし(担当者は、実習の準備をお願いします。)
<今後の予定について>
1/12(日) | ろう教育懇談会;観察実習・自由参加 (参加者を確認・参加者はチェックシート記入・提出) |
1/18(土) | 実践5;通訳実習1(県西・取手グループ) 手話通訳体験;平成14年度登録手話通訳者3名にお話しをしていただき、それを聞き取り通訳します。 |
1/25(土) | 実践6・1/18第1回実習反省&1/12観察実習反省 |
2/1(土) | 実践7・第2回実習のための事前学習;県南サ連懇談会での通訳 |
2/2(日) | 通訳実習2 ・県南手話サークル連絡協議会懇談会の手話通訳(つくば・阿見町グループ) |
2/8(土) | 実践8・実習反省/第3回実習の事前学習 |
2/9(日) | 通訳実習3(県南東グループ) ・県ろう者大会;(詳細未定)、会場;鹿嶋勤労福祉会館、 時間;未定(その他県南・鹿行グループ) |
3/1(土) | 実践9・まとめ&修了式 |
注)実習は、基本的にグループ単位で行うので、他のグループの日は自由参加。
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