2002年度茨城県手話通訳者養成講座2(応用・実践) <実践第2回>
2002.12.07(土)13:30〜16:30
11月30日(土)、第1回目の講座修了後、午後4時半くらい〜8時過ぎまで話し合いをしました。
ついつい話がいろいろな話題に広まってしまって、かろうじて第2回目のカリキュラムがまとまりました。
今回は、「宿題」を出してあるので、講座の前に、受講生から送られてくる「宿題」をチェックするだけでも疲れちゃうよな。
宿題のチェックは、ろう講師がやってくださったのですが、3題×17名分って1題1ページとしても51枚もレポートが提出されることになる。ちょっと失敗だったかも…。
さらに、シンドかったのが、宿題用のビデオ作成。読み取り筆記が3題、自己紹介が1題。数人のチェックならこれくらいわけないけど、なんせ17人分は、準備するのも大変です。一人2分×3題=6分+自己紹介2分。テープの掛け替えなんか含めると実質一人10分以上はかかる。つまりそれだけでも17人分の宿題ビデオを作るには170分=3時間かかるわけです。
発送作業も大変でした。ビデオ用の封筒が足りなかったり、宛名シールの作成も住所変更があったり、何よりも郵便局に持ち込む時間がないのが大変でした。今回はたまたま月曜日が人間ドックだったので、検査の合間に郵便局行ってきました。
グッタリ…
<本日のカリキュラム>
1.会場設営
・今回は椅子だけにして、3グループに分かれて座ってもらうことにしました。
・グループ分けは、今後の実習のことを考え「できるだけ地域的にまとまったグループ」にしたいと考えました。そこでまず、つくば市+阿見町在住の方を第1グループに。
・あとは県西グループとそれ以外と思ったのですが、すっきり分けられなかったので、県西の3名に似たタイプの手話表現をされる方3名を加えて第2グループとしました。
・第3グループは、鹿行地域(県東部)での実習を念頭において鹿島郡の受講生と手話のタイプが似ている方にメンバーになっていただきました。
2.会場設営−その2
・今回、僕としては初めての試みとしてプロジェクターを導入してみました。
・読み取りビデオを再生する上で、テレビ+ビデオデッキは1コース(基本クラス)が使用しているため、実践クラスには、最初ビデオがなかったというのが一番の理由です。
・ただ、僕としては、プロジェクターの使用には、次の3つの利点があると考え、ちょっと無理して導入したものです。
(1)大きな画面で見られる(60型)ので、大勢でビデオを見るのに適している。特に読み取りは微妙な動きをキチンと見分ける必要があるので、ほぼ「等身大」の映像を映せることは、とても良かったと思った。
(2)ビデオカメラとつなげれば、読み取り筆記の回答などもそのままスクリーンに大きく映し出せる。実際、今回A4サイズの用紙に書かれた回答を机に置いて、真上からビデオカメラで撮影しスクリーンに映して見ましたが、OHPのように大きく写せるので、書いたものをそのままみんなで読んで確認することができました。
(3)プロジェクターはパソコンにも接続できるので、「パソコン要約筆記」としても使える。これは特に今回、やってみたかったことです。つまり、口頭読み取り通訳の「声」をライブで、つまり同時に「パソコン要約筆記」してみたのです。今回は後半、逐次口頭通訳をやったのですが、受講生が読み取って声に出す日本語を僕がそのままパソコンに打ち込んでスクリーンに映して見ました。早口だとやっぱ入力が追いつきませんが、受講生も多少気を遣ってくれたので、かなり忠実に「口頭通訳内容」をスクリーン上に再現することができ、ろう講師のチェックを受けることが可能となりました。さらに、PinP機能というのを使うと左にビデオ画面、右にパソコン画面を同時に映写できるので、手話映像を見ながら右側のパソコン要約筆記画面をチェックするという使い方ができました。
3.宿題チェック
・宿題についてグループ内で、お互いにチェックし合ってみました。読み取りにくかったところ、分からなかったところ、上手い日本語が見つからなかったところなどについてお互いの回答を回し読んでチェックし、グループとしての模範解答(統一見解)を作成してもらいました。
・実は僕としては、ポイントを箇条書きにしてもらうつもりで、「模範解答」まで求めるつもりはなかったのですが、受講生達は一字一句確認して各グループとしての「統一回答」を作ってくれました。
・このため予定時間を大きく超過してしまいました。(13:30〜14:30の1時間もかかってしまった)
4.グループとしての読み取り結果を発表
・さっき書いたように、全文を書き直して読み上げてもらうつもりはなかったのですが、結果的に各グループとも模範解答というか統一回答を作ってくれたので、プロジェクターで回答をスクリーンに投影しながら発表してもらいました。
<参考;木下の回答例01「ろう者がペットをしつける時の難しさ」>
5.ビデオチェック
・ビデオを少しずつ見ながら講師が解説。(回答と比較しながらポイントをチェック・ろう講師が解説)
6.シャドウイング
・もし時間に余裕があれば、シャドウイング(ビデオの手話表現をそのまま真似て受講生に表現してもらう。手を動かすことは、それなりにできると思うので、特に「うなづき」や「目線の使い方」を学び取ることを目的とする。)
・シャドウイングした手話を講師がチェックして解説・補正してあげる。
・…という予定だったのですが、シャドウイングは時間切れでできませんでした。
15:30 休憩
7.次の教材(読み取り・逐次口頭通訳)
<進め方>
・ろう講師が、1分程度話しては、話しを止めてもらって、その間受講生はメモを取りながら読み取りし、頭の中に話された内容を貯めておきます。
・ろう講師の話が止まったら、話された内容を声に出して通訳(逐次通訳)するわけです。
・つまり、外国人のインタビューの通訳みたいなやり方で、ろう講師;手話表現⇒受講生;口頭通訳、ろう講師;手話表現⇒受講生;口頭通訳という風に、区切っては話し、区切っては話すというタイプの通訳方法です。
・受講生はポータブルのカセット録音機を持ってもらって、自分の読み取りの声をカセットテープに録音しながら通訳してもらいました。
・僕は、受講生が口頭通訳する声を聞きながら、パソコン要約筆記をやりました。(スクリーンに映写)
・時間がなくなってしまったため、第1グループの6名だけにやってもらいました。
<反省>
・機材のセッティングでちょっとバタバタしてしまって、受講生はあまり集中できなかったかも。特に録音を自分でやってもらったのは失敗でした。機械の操作にアタフタして読み取り通訳に集中できなかったようで申し訳なかったと反省しています。
・僕は、ビデオ撮影+タイムキーパー+パソコン要約筆記と一人三役だったので、「講師」の役割はパスでした。やっぱ読み取り口頭通訳学習にはビデオやオーディオ機器の操作をする人を付けてもらわないと難しいですね。
・やっぱ事前にビデオ撮影したものを使ってやるのが良いように感じました。ライブの緊張感はちょっと薄れますが、ろう講師も受講生の口話をじっくり読み取って、ある程度通訳内容を把握できるようですし、今後もっとやり方を工夫していきたいと思います。
8.宿題
7.でやった逐次通訳を、もう一度自宅でやってきてもらいます。短い話しが6本あるので、6回の逐次通訳を録音し、紙に書き起こして、講師にFAXするというやり方です。
<宿題ビデオ送付説明文>
2002.12.09(月) | |
茨城県手話通訳者養成講座Uコース(実践)受講生のみなさんへ | |
以下の作業をしてください。 | |
1 | 逐次口頭読み取り通訳 ; 12/7お休みされた方にはちょっと分かりにくいかも知れませんが、今回のやり方は「逐次口頭通訳」です。 ビデオテープに収録されている菊池さんの手話表現は、6つのパートに分かれています。(画面ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、ビデオの切れ目があります。) 外国人へのインタビューみたいに @1つ目の手話表現を読みながらメモを取り「読み貯め」してください、A手話表現が終わったらビデオを一時停止して、B話された内容を「口頭で」通訳しカセットテープに録音してください。ここまでが1クールです。 Cビデオの一時停止を解除して次の一文をメモを取りながら読み取ってください。D話しの区切りで再びビデオを一時停止します。E話された内容を「口頭」通訳しカセットテープに録音してください。これで2クール目が終了です。このようにビデオの手話表現を読み取ってすぐに(同時に)通訳するのでなく、逐次的に読み取り通訳してください。 6つの話しを読み終わったら、カセットテープに録音された口頭通訳内容を「書き起こして」ください。筆記通訳ではありませんので、ご自分が話したとおりに書き写してください。 書き起こしたものを菊池講師及び木下講師までFax又はe-mailしてください。(木下はできるだけe-mailでお願いします。助かります) 12月7日に第1グループ6名の方にライブで逐次通訳してもらいましたが、今回もライブのつもりで1発で逐次通訳してください。 ただし、時間的に余裕のある方は、初見+繰り返しビデオを見た後の逐次通訳結果の2つを作成していただいても結構です。 |
2 | その他 ; 書式は、A4縦の用紙ならなんでもかまいません。(ワープロも可) e-mailの場合は特に書式の指定はありませんが、必ずテキストファイルで送ってください。また、次ページの用紙をコピーして使っていただいてもけっこうです。ただし、必ず各用紙の一番上に「お名前」をお書き下さい。(提出締切は12月12日(木)です。) |
3 | お願い ; ビデオテープは封筒に入れたまま12月14日の講義の時にお返しください。次の宿題で、また使います。 以 上 |
9.今後の予定について
12/21(土) | 実践3;読み取り通訳3 |
1/11(土) | 実践4;講座やります。第1回実習準備・講演会の聞き取り表現通訳練習 |
1/12(日) |
ろう教育懇談会;観察実習・自由参加 |
1/18(土) | 実践5;通訳実習1(県西グループ) 手話通訳体験;平成14年度登録手話通訳者3名にお話しをしていただき、それを聞き取り通訳します。 |
1/25(土) | 実践6・第1回実習反省&1/12観察実習反省 |
2/1(土) | 実践7・第2回実習のための事前学習;県ろう者大会での通訳実習 |
2/2(日) | 通訳実習2 ・県南手話サークル連絡協議会懇談会の手話通訳(つくば・阿見町グループ) |
2/8(土) | 実践8・実習反省/第3回実習の事前学習 |
2/9(日) | 通訳実習3(県南東グループ) ・県ろう者大会;(詳細未定)、会場;鹿嶋勤労福祉会館、 時間;未定 |
3/1(土) | 実践9・まとめ&修了式 |
注)実習は、基本的にグループ単位で行うので、他のグループの日は自由参加。
追伸;この日は、「第3回講座カリキュラムの相談」が、講座終了後なんと「9時半まで続いた」グッタリ
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