ろう教育のページ<1>

1.手話絵本「ゆび一本からはじめる手話」の製作を通じて

(1)はじめに

1997年、手話絵本「ゆび一本からはじめる手話」(ぽぷら社)の製作に関わった。
この本にクレジットされている「監修 木下耕一」を読んだ方から、最近、新たな子ども向け企画のアイデアについて相談を受けた。

そこで、あらためて子供向け「手話の本」って、探してみたらずいぶんたくさんあるだねぇ〜と驚いた。つまり儲かる(=売れる)んだろうね。最近はまた「ボランティア・ブーム」っていうのか、学習指導要領の改訂なんかもあって、「幼稚園や小学校低学年では,基本的な生活習慣や善悪の判断などの指導を徹底。また,ボランティア活動の重視。」ということなのだそうだ。

「ともだち」という大きなテーマの中で、「声を使わないコミュニケーション」の存在やおもしろさを扱ってみたい。また、同時に子ども達にとって「バリアフリーの第一歩」になれば・・・。

そんな話を聞いて、僕は思った。幼稚園の子ども達に手話に出会ってもらうことは大歓迎だし、幼稚園の先生にも是非とも手話を覚えて欲しいって思うのだけれど、何か心に引っかかるものがあって、僕の思考はストップ!・・・(>_<)

ああでもない、こうでもないって考える中で、「手話」よりも「聞こえない」ってことを、子ども達に肌で感じて欲しいという自分の思いがだんだん明らかになってきた。
それというのも幼稚部世代の聞こえない子ども達にとって、残念ながら「手話」は、まだそれほど身近なものではないからだ。

僕は、「バリアフリー」って言葉にも、何か釈然としないものを感じている。
「耳の不自由な子ども」って、なんだろう?「不自由」って、なんかモヤモヤしちゃう。
「障害は不便だけれど不幸ではありません」と言ったりするけど、この場合の「不便」って英語でなんていうんだろうか?インコンビーニエントinconvenientって何か語感が違うような気がするのだけれど・・・。
「バリアレス」てどう?

そんな、なんだかんだでなかなか考えがまとまらなくてとうとうゴールデンウィークに突入してしまった。ヤバイ。
それでも僕は、幼稚園で「手話のおゆうぎ」やっておしまい、なんていうんじゃない、もっと違った企画を考えてみたいのだ!

<ろう教育メニューに戻る> <(2)基本コンセプト> <(3)下調べ>